川崎市の隠れた問題「隠れ待機児童」とは?

共働き世帯が多く、子どもの数も増え続けている川崎市。市では待機児童の解消は本市の最重要課題として 『今年4月の待機児童ゼロ』を目指し各種施策を実施しております。その結果昨年4月時点での待機児童数は 62名と激減しました。しかし今もなお「保育所に入れない」という声が多くあります。何故なのでしょう?

待機児童数は自治体によって数え方が違い、実態を表していない!

川崎市の隠れ待機児童数は1008名と政令市ワースト3

昨年夏に全国の政令指定都市の保育所への申請/入所状況を独自に調査しました。平成26年4月の川崎市の待機児童数は62人。 平成25年が438人、平成24年が615人でしたから激減してきたといって良いでしょう。ワーストは仙台市の570人、広島市の447人、札幌市の323人と続きます。 待機児童ゼロは千葉市、新潟市、名古屋市、京都市、岡山市、北九州市、福岡市です。半数近くの政令市が待機児童がが居ないという結果になりました。 昨今の世論を受けて各自治体での保育所定員枠の拡大が功を奏してきたと言えます。


次に、認可保育所を希望しながら公的な保育サービスの対象外となった人数から、さらに待機児童の数を差し引いてみました。 (認可保育所利用申請者数から認可保育所の入所者数と市の保育施策等で対応している数と待機児童を引いた数)これは「隠れ待機児童」と呼ばれます。 川崎市は1,008人と大阪市の1,394人、横浜市の1,224人に次いで政令市中ワースト3位に浮上です。しかも人口比で言えば川崎市のほうが多いということになります。

待機児童の数え方は自治体によってバラバラ

待機児童と隠れ待機児童の多い自治体順に並ると左の図になります。待機児童数の多い仙台市や広島市は隠れ待機児童が少なく、 待機児童数の少ない11位の横浜市は隠れ待機児童数2位に浮上、名古屋市などは待機児童ゼロと言いながら隠れ待機児童は733名。 公称で待機児童ゼロの自治体も隠れ待機児童の数は上位、待機児童の多い自治体は隠れ待機児童数は下位にと、見事に逆転現象が起こっています


これをまた別の形にあらわしたのがこれです。青が入所を希望していて保育所に入れなかった数、赤がそのうち待機児童として報告されている数です。 待機児童数ワースト3の仙台市、広島市、札幌市は実態に近い数字が待機児童数として公表されていることがわかります。バーに占める赤色の割合は自治体によって バラバラなのがわかるかと思います。待機児童の定義がこれだけ違うという事なのです。
待機児童数は数字のマジック。この数字のみを追いかけると実態とかけ離れてしまう危険性があるのです。

需要を把握し、それに応えるだけの保育所定員枠の確保が必要

待機児童解消を目指す政府は少子化対策や女性の活用を目的としています。しかしこのように公の待機児童の数は除外を重ねていて 本当に公的保育サービスを必要としている人を数えていないという側面もあります。 産休、育休、休職中といった人々は、子どもを預けなければ働けない、働いていないと預けられないというジレンマに置かれている状況。 今の定義の待機児童数にとらわれ過ぎると、本来の目的を見失ってしまうことになりかねない思っています。 しかし私も申請者は全て保育所に入れるべきとは考えていません。今の社会情勢から見た需要量を適切に見積もりそれを目標値にすべきと考えています。

各政令市の就学前児童に対する保育所入所児の割合を示してみました。 ここで言う保育所は公的サービスにかかわる保育所のことで川崎市の場合は認可保育所、認定保育園、おなかま保育室、一時保育対応、幼稚園預かり保育対応 を含めています。待機児童、隠れ待機児童ともにほぼゼロの新潟市は、就学前児童に対する保育所定員枠が52.1%です。 このデータからは需要と供給が均衡するのは大体就学前児童数の約50%ではないかと想定できます。 川崎市は何と28.5%で全国平均の35.9%にも及んでいません。つまり、川崎市で真の意味で待機児童ゼロを目指すのであれば、単純計算で言うと今の倍近くの保育所の 整備が必要ではないかとも考えられます。

まずは川崎市の保育の需要量をきちんと把握するべきです。量のピークは平成31年でその需要量の見込みについては今年度末に示されるとのことですので、 需要量については今後議会で議論していきたいと考えます。いずれにしても、子育て世代の需要に応えて今以上に保育所を整備していかなければならないというのは 共通認識だと思っています。現在の大都市圏で急増する保育需要にどう応えていくのかについては国を挙げての課題と言えますけれども そうはいっても基礎自治体が最前線で対応せざるを得ないですし、今以上に腹をくくっていくしかないと考えます。

まずできるところから。2歳児以下の需要に応える小規模保育の拡充を

大規模な保育所は用地確保が難しい上に建設整備費だけでも約2億円かかります。しかも待機児童解消には限定的な効果しか見込めません。 現在の需要が最も高いのは2歳児以下の預かりです。保育施設の整備については小規模保育の拡充が最も合理的です。初期投資が大規模園よりはるかに少なくて済みますし 需要の多い2歳児以下のみをターゲットとできるからです。しかし小規模保育施設はそれ単体では利益が出にくいことから事業者がなかなか手を挙げてくれないという 課題があります。認可保育所の募集時に近隣に連携機関として小規模保育をセットにして設置することを募集の条件とすることを議会て提案しました。 市は今後検討するとの事ですので推移を見守っているところです。ちなみに連携機関であれば3歳児以降の大規模園への移行も比較的スムーズに進められます。
抜本的な解決策は認可保育所の定員枠の拡大ですが、待ったなしの現実を改善するため今できる施策から早期着手していく必要があると考えます。

需要に対応した保育所定員枠の確保のために活動しております

■議会質問はこちら。平成26年第4回定例会一般質問(小田理恵子)
■また、税の公平な配分の観点から子どもの増えている自治体に対する保育所整備のためのさらなる財源措置を国に求める提言書を提出予定です。
今回のテーマ:隠れ待機児童に関するご意見・ご要望は
FAX:050-3156-3651またはメールodarieki@mbr.nifty.comまで

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